冷房もライトも全部自動化!ホームハックから体感する未来の生活

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ホームスピーカーが普及し始めた昨今。それらを活用し「音声でテレビのチャンネルを変える」「音声でライトを消す」といった取り組みをする人も増えてきた。

そのような、ガジェットを使った行動の自動化や効率化をホームハックという。たとえば「温度があがったら自動で冷房をつける」「鍵をスマホで開くようにする」「人がきたらライトをつける」といったことだ。

今回は、そのような取り組みを行うななみんさんを中心とする3人に話を聞いた。ホームハックの魅力とは?そこで得られる体験とはなにか。

ななみん
通信会社に勤務し、自転車シェアサービスの立ち上げ、スマートフォンの開発、Fintechサービスの立ち上げなどを経験。好きなものは、新しいガジェット、ネコ。好きな人は、アインシュタイン、ショパン。趣味で数多くのホームハックを手がけており、その活動は連載「ななみんのIoTおうちハック」で読むことができる。


濱田 優貴(Yuki Hamada)
株式会社メルカリ、取締役。東京理科大学工学部在学中に株式会社サイブリッジを創業、取締役副社長に就任する。2014年10月に同社退社後、株式会社メルカリにジョイン。2016年3月に取締役に就任する。


上田 拓也 (Takuya Ueda)
株式会社メルペイ。 サーバサイドエンジニアとして日々Goを書いている。 Go Conference主催者。golang.tokyo、Goビギナーズ、GCPUG Tokyo運営。 大学時代にGoに出会い、それ以来のめり込む。 メルカリでは、Slackにおいて、ホームハックのチャンネルを運営。

どういう人にホームハックは向いている?

―まず最初にホームハックはどういう人に向いていますか

上田:面倒くさがりですかね。

ななみん:追い焚きボタンをわざわざ押したくないからと工作するような人たちです(笑)

上田:あとはよく忘れる人にも向いているかもしれませんね。

僕はよく電気の消し忘れを注意をされるのですが、そもそも電気を消す動作自体が間違いなのではないかと思うことがあります。

ななみん:本当にそうです。「電気を消す」という行動は人間に向いていないし、なぜそんな非生産的な活動をしなければいけないのかと思います。

濱田:とても分かります。人生で、電気を消すことに使う時間はありません。

上田:メルカリではカラクリという考えがあります。「2、3回同じことをやったら自動化しろ」という仕組み化へのマインドが刷り込まれているのですが、その考えにも近いですね。

ななみん:その作業を何度か行って得られるものが無いなら、その作業は自動化したほうが良いですよね。日常の無駄を全部解決出来たら良いと思っています。

無駄を極限まで削減すれば、人間は「寝る」か「創造的な仕事をする」か「学ぶ」、「遊ぶ」しかない、そういう未来が見えます。

f:id:mermirai:20180614151531j:plain ななみんさん

ホームハックのきっかけ

ーホームハックのきっかけを教えてください

ななみん:元々のきっかけは引っ越しです。それまでは、セキュリティが充実したマンションに住んでいたので、特にホームハックする必要がありませんでした。

最近、築年数が10年弱の一軒家に引っ越しをしました。しかも150平米と広くて。そうなると不便な面だとか、セキュリティ面で気になる部分が出てきたので、「じゃあ自分でどうにかしなきゃ」と思ってやりだした、というのがきっかけです。

f:id:mermirai:20180614151549j:plain 株式会社メルペイ / 上田 拓也

上田:僕もきっかけは結婚に向けて引っ越しをしたことです。

もともと住んでいた家は、一人暮らしでホームハックをするほど部屋も広くなかったので、必要ありませんでした。引っ越しをしてから、家が広くなり、改善するポイントが見えてきたので、とりあえずGoogle Homeを置いてテレビと繋げてみたりするところから始めました。

そして「自分1人でやっていても面白くないし、社内で同じような事をやっている人もいっぱい居るだろうな」と思って、社内でホームハックに関するSlackのチャンネルを作りました。いまは50人弱が参加しています。

f:id:mermirai:20180614110004p:plain ↑メルカリのSlack内のホームハックチャンネルの様子

―お二人とも引っ越しきっかけなんですね

ななみん:マンションでもできることはありますが、戸建てだと、マンションの時よりもしたいことが増えました。

例えば築年数が古い家はそこらへんの鍵屋さんで複製できそうな鍵がデフォルトだったりします。そうなったらやはりスマートロックを付けて、セキュリティを高めたいですし、なんなら開いた時に通知が来るようにしたいと。

あとは広くて電気の消し忘れが多いので、スマホで一括管理出来たら良いなっていうのが出てきますね。

上田:電気の消し忘れはありますね。

家族から「自分で消せばいいじゃない」と言われることもあるのですが、ハックの便利さをしってもらいたくて、細かいところから理解してもらっています。「声でチャンネル変えるの便利だよ!」というところから(笑)

最適な入力方法とは

ーいま、音声入力の話がでましたが、ベストな入力インターフェイスとは何でしょうか

ななみん:音声認識に関しては、私には合わないですね。

家の中で人(や猫)と会話する以外で喋るという行為に違和感があります。声を出すのは意外とエネルギーを使いませんか。

濱田:僕もそう思います。

あとまだ音声による入力は改善点があるような気がします。「チャンネルを変えて」って言ってチャンネルが変わるのであれば違和感ないと思うのですが、「Alexa、フジテレビに変えて」というのはちょっと慣れないですよね。

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株式会社メルカリ 取締役 / 濱田 優貴

上田:起動するためのワードを言わないといけないのは、困る時はありますよね。今日も目覚ましを止めるのに「ねぇGoogle、ねぇGoogle!」って何回も連呼しました。

ななみん:でも何回も声を出して、その結果、目が覚めるという効果も(笑)

私も、Amazon EchoとGoogle Homeを買ったのですが、家に人が来たとき、例えばホームパーティのときに使うのは盛り上がるのですが、1人で居る時に喋るのは抵抗があります。

濱田:朝起きた時に「今日のニュースを流して!」と言う元気がないですよね。

ななみん:そうですね、私は低血圧なので、朝から声を出すのは辛いです(笑)

濱田:ただ、マイクの性能が向上すれば改善されるかもしれません。今はマイクの性能が完璧ではないので、「デバイスに認識させなきゃ!」という緊張感みたいなものがあり、音声入力にはまだストレスがあるのかも。

実際、AppleのHome Podはかなりスピーカーの性能もよくて「目を閉じたらそこにSiriがいる」という印象です。ですから、会話をしやすい気がします。

マイクはまだまだ改善の余地はあるかと思います。これからマイクの性能が飛躍的に上がり、小声で「ニュースつけて…」と言ったらつけてくれるなら嬉しいですね。

ななみん:呟きも拾ってしまうようになると、うかつなことは言えませんが(笑)

上田:確かに、マイクの性能は改善されると嬉しいですね。僕の家では「日テレ」と言うと日テレに変えてくれる設定にしているのですが、認識してくれないこともあって最初は「ヒルナンデス」と言って変えていました(笑)。

ななみん:名前が長い方が認識しやすいですよね。あと、あまり他の命令ワードと被らないワードが良いですよね。

上田:そうですね。そういう意味では、こちらがガジェットに合わせるように努力しているところもありますね(笑)

ただ、音声が便利な時もありますよ。うちはキッチンに置いていて、料理中で手が使えない時に音楽を流したり、タイマーをセットしたり。

逆に難しいのは「別に今、お前に喋っていない」という時に反応される時ですね。

もう少し空気を読んでくれれば良いのかなと…。目線を向けた時にしゃべっている時だけ反応してくれるというような。

ななみん:チャンネルの話がでましたが、チャンネルを変えるために、わざわざ声を発するのも手間だなと思っています。そう考えると、リモコンはとても便利ですよね。押すだけでチャンネルが変わりますから。

上田:私の家だと併用していますね。ソファーに座って、少し遠い位置にある時は口で言って、近くにリモコンがある時はリモコンを使って。

ななみん:ボタンは本当に便利です。

何かのガジェットを操作する時はアプリから利用することが多いのですが、アプリから操作するのも意外と手間がかかります。具体的には、「スマホを手に取る」「ロックを解除する」「アプリを探す」「アプリを起動させる」「入力をする」と5ステップぐらいありますよね。そこまでが結構面倒で、物理ボタン1つでできると素晴らしいなと思っています。

―ボタン以外の入力インターフェースに関してはどうでしょうか

濱田:ボタンは便利ですが、ボタンすら要らないという環境にも興味があります。

以前、マンションで「16時ごろに西日が入ってきて眩しい」ということがありました。そのため、毎回、手で閉めていたのですが、それが手間で。それで、自分で日没時間を計算して「時間によってカーテンが自動的に閉まる、日没後は自動で開く」という仕組みにしました。ボタンすら要らないし動かなくて良いから便利です。

ななみん:日没の時間ってシミュレーションが出来るのですか

濱田:「どうやって割り出すんだろう」って思っていたら、普通にPHPの関数「date_sunset」で日没を割り出せました。「この関数は、これに使うんだ!」と(笑)

↑濱田のカーテンの自動開閉の取り組み

ななみん:カーテンの制御はどのようにしているんですか

濱田:これはRaspberry Pi(ラズベリーパイ)で、モーターを付けて、ブラウザのアプリを作って開くようにしました。モーターは普通のACモーターで、タイヤを使ってやったのですが、これを作ったあとにそういう製品があるっていう事が分かりまして…。

※Raspberry Piとは
IoTの開発で使われることが多い超小型のコンピューター

業務用のホテルとかで使うような開閉器が赤外線で操作出来るものがあって、それをIRKitとAPIで開くようにして作りました。

※IRKitとは
インターネットから赤外線を操作することができるデバイス。これによってアプリなどから、このガジェットの赤外線を通じて、テレビのチャンネルを変えるといったこともできる

ななみん:私も以前、カーテンを自動で開けるハックに挑戦したのですが、うまくいきませんでした。ラジコンでカーテンを引っ張ろうとしたのですが、カーテンの下だけ引っ張っても、カーテンが引けませんでした(笑)。

youtu.be

濱田:僕の場合は、カーテンの上を引っ張っています。カーテンのレールの所にワイヤーを入れて下に持ってきて。でも電動レールのカーテンが売っているので、それがおすすめですよ。

ー入力インターフェースの話で行くと、センサーはどうでしょうか

上田:GPSでは失敗しました。GPSで、「家から離れたら、家のエアコンが勝手に切れる」というものを作ったのですが、GPSの精度が悪くて「失敗しました」という通知が良く飛んで来てしまいます。毎日、同じ時間に家を出るので、結局、時間で切れるようにしました。

ただ、家を出る時間は毎日同じですが、帰る時間は違います。そのため、夏に「家に近付いたら勝手に冷房が入るようにしよう」とも思っていたのですが、やはりGPSの精度が悪くて、帰った頃に付くというのもありました(笑)

結局、家の近くまで来たら携帯で入れればいいということに気づき、そうしています。

位置情報はズレがある時があってGPSは難しいですね。ちょっとコンビニに行ったくらいでも切れてしまいますし。

ななみん:センサーでいえば、私は家の中で温度計とか湿度計とかを色々な所に置くのが趣味です。

濱田:分かります。家だと、場所によって暑さのムラがあって…。

ななみん:そうなんです。1LDKに住んでいた頃は分からなかったのですが、1階と2階で環境が全然違うんですよ。温度差をみたりするのは楽しいですよ。

あと私は女性ということで湿度も気にしてみたり。お肌に最適な湿度は40〜60%と言われているので、室内の湿度が枠内に収まっているのか色々な所を測ってみました。

そして、加湿器も6個ほど買ってきたのですが、湿度に合わせて人力でつけていくと手間がかかりすぎます。そのため、湿度が下がった時に加湿器が自動的につくようにしました。

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↑左(スマートフォンで見たときは上)の超音波振動子の電源をオンにし、水につけると簡易的な加湿器に。

濱田:どういう風にされているのですか?

ななみん:湿度はセンサーを買ってきて、それをArduino(アルデュイーノ)でとって、その閾値を下回ったら加湿器をオンにするだけです。

※Arduinoとは
IoTなどでよく使われるマイクロコンピューター

加湿器は自作で、超音波振動子をボウルに入れるだけ。 湿度が下がると、それが振動して、水が霧状で出てくるんですよ。その超音波振動子は900円ほどでAmazonで調達しました。あっメルカリでも買えますかね(笑)

濱田:きっと売っていると思います(笑)

電源のオン・オフは何で制御されているのですか?

ななみん:電源はDC出力のACアダプターをスマートプラグで制御します。

スマートプラグは使い勝手が良いですよ。電源をつければオンになるものであればなんにでも使えますから。

※スマートプラグとは
スマホ等で、コンセントのONとOFFを操作できるガジェットのこと。ななみんさんのおすすめはTP-Link社のスマートプラグ。Alexaなどでの音声コントロールにも対応

なぜホームハックをするのか

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―ななみんさんは一戸建てへの引っ越しがきっかけでホームハックをされたということですが、安全面を確保するためにしているハックもあるのでしょうか

ななみん:やっています。

女性だと共感してくれると思うのですが、セキュリティが気になります。私の家の前は暗めの私道なので、私が帰宅して電気をつけると、私の後をついてきた人は私の家がわかってしまいます。

それを防ぐために、駅に着いたらリモートで電気をつけています。電気を点けっぱなしで家を出るという人もいますが、電気代がもったい無いですよね。

上田:誰かが先に家にいるように見せて、不審者を警戒させる効果もあるかもしれませんね。

濱田:そう考えると「家に怖い人がいる」といったガジェットがあれば売れるんじゃないですか。

ななみん:先日、リリースがありましたね。レオパレスさんが、そのような悩みを持っている女性が多いので、人の影を窓に投影するプロジェクターのようなものを提供されるそうです。

上田:バットをもった影絵とかも効果的かもしれませんね。

ななみん:強い人がいるよ、みたいな(笑)

上田:近所の家から通報が来そうですけどね(笑)

ななみん:ただ、このガジェットが有名になってしまうと、逆効果になりそうですね。

―ホームハックの目的は「便利にする」というものかと思っていたのですが、セキュリティ面も需要としてはあるのですね

ななみん:はい。そもそも一戸建てに引っ越すとなった時に、セキュリティはどうすべきか全然わからなくて。そこで、セキュリティ会社の人に、提供されているソリューションの話を聞きました。そうすると、「半分以上は自分で出来るかも」と思い取り組みました。

例えば庭に赤外線センサーを置いて、「人がきた時に防犯のライトが点く」というのは簡単に作れるので、そういう仕組みを実現しています。

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↑mouseの「スマートLEDライト」をソケットに装着したもの

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↑管理画面。夜のみ、動きがあったら点灯する設定

そして、その取組みをしていて、気づいたことがあります。

開閉センサーを窓に付けて、「窓が開いたら通知が来る」という仕組みは簡単にできます。でも、通知が来ても、自分が会社にいたらどうしようもありません。結局は人が駆けつけてくれないとどうなっているのか分からないんです。会社で会議している時に「窓が開いた」と通知があったらとても不安です。

もちろん、カメラをつけておいて状況を確認するという方法もあるのですが、そこに何も映っていなければ心配ですよね。

濱田:怖い声で「誰だ!」と音声を出す機能があってもいいかもしれないですね(笑)

ななみん:そうですね(笑)

私が思ったのは、本当に困った時に、人を派遣する仕組みがあればいいなと。たとえば、通知があったらセキュリティ会社から人を派遣するようなAPIを開放してほしいと思いました。1回あたりの都度課金なら嬉しい。

濱田:面白いですね。スマートロックと連携すれば、スマートロックのキーを警備員に発行してその人が入るということもできますね。ただ駆けつけるのはセキュリティ会社の人じゃなくて、近所の手が空いている人でも良さそうです。

ななみん:そうですね。全く知らない人だと不安ですが、その人にUberEATSのように今までの評価などがついていて、「見に行くプロ」みたいな人がいればいいですね。

濱田:見た目が怖い人のスコアが高くなりそうですね(笑)

カメラの多様な活用方法

ー監視カメラは使っていますか

上田:使ってないですね。

濱田:僕はアメリカでは、Drop camとAmazonのCloud camを使っていますが、日本で良いカメラを探しています。

ななみん:私は猫の自動給餌器を使っていて、それにカメラが付いています。リビングの全体が見渡せる場所に給餌器を置いて、そのカメラで猫の状況を確認しています。

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↑給餌器

他には、監視カメラの代わりに、家の外に使わなくなったスマホを置いていますね。

濱田:充電はどうしているのですか?

ななみん:充電はうまく工夫して繋げています。

上田:自動で何か検出したりする仕組みは入れているのですか。

ななみん:そこまではやっておらず、他のセンサーからの通知が来たり気が向いたときに見るようなイメージです。フリーのアプリで見ています。

濱田:僕が使っているカメラは、動きがあれば、通知が来ます。ちょうど1時間前にもきましたね。家事代行の人ですが。録画もしてくれるので便利ですよ。

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ななみん:そういえば私も先日、家事代行をリモートでお願いしました。

人がいないお家に入ってもらって、家事代行をして帰ってもらうというものです。「今からやります」という連絡をもらったらスマートロックで鍵を開けて、掃除をしてもらいます。「帰った」という連絡をいただくと、スマートロックでロックします。猫もいるので、このやり方でペットシッターもお願いしています。

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↑給餌器についているカメラからペットシッターさんの様子を見ることができる

濱田:良いですよね。最初の頃は、自分が家にいない時に他人に入られるのはちょっと嫌な気持ちかもしれませんが、慣れると平気ですよね。

ななみん:ですね。セキュリティの観点で言えば、最低限は、金品を置いてある場所にカメラを設置しておけば良いですし。

今後は、荷物の受け取りにも使いたいと思っています。今、戸建てなので、宅配ボックスが無く、不在時に荷物を受け取れないんです。

そのため、荷物を持ってきてくれた時にスマートロックで鍵をあけて、そこに置いておいてもらえれば助かりますね。玄関にカメラを設置すれば、セキュリティも配慮できますし。

濱田:僕は家事代行の人に家に届いた荷物を宅配ロッカーから取って、箱を開けて、家の玄関に置いておいてもらっています。最近は、荷物の箱を開けるのも捨てるのも大変なので、全部開けてもらっています(笑)。

ななみん:でも、どうせ届けるのであればそれを宅配の人にやって貰えると便利ですね。

濱田:宅配の人が梱包ダンボールを回収してまた使ってもいいですしね。

上田:あのダンボールは本当に要らないですよね、どんどん溜まっていきますし。

プログラミングは必要?

―プログラミング言語がなくてもホームハックは楽しめるものでしょうか

ななみん:はい、私がノンプログラマーにおすすめするとしたら1つは遠隔操作で家電製品の電源オン/オフができるスマートプラグです。

スマートプラグは、何にでも使えます。私は加湿器や猫の水やり機などに活用しています。

ー猫の水やり?

ななみん:うちの猫は流れる水しか飲まないんですよ。ですから、水を置いておくだけではなく、水を流すのが重要なんです。

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流れる水のガジェットがあって、そのコンセントにスマートプラグをつなげておくと、私が指定した時だけ水が流れるので、それを飲んでくれます。自動給餌器でエサが出る時間帯に合わせてお水を流すと、より効率的です(笑)

あとは女性だったらナイトスチーマーを寝るときに出すという仕組みにもスマートプラグは使えますね。生活で使う電化製品の何でも使えるので。使い方は無限大ですね。

上田:一番基礎的ですが使い勝手があるガジェットですよね。

あと、Nature Remoのような赤外線系センサーはリモコンのように使うのであれば、覚えさせるだけなので始めやすいかなと思います。あと廉価版のNature Remo miniも発売されますし。

今からだと冷房とか扇風機を操作出来るし、Hueを買い揃えるのが大変な人はトグル式じゃなければシーリングライトにも使えますし。

おすすめガジェット

ーおすすめガジェットを教えてください

ななみん:私が好きなガジェットは、Switch BotとMicroBot Pushです。どちらも機能はほぼ同じで、「遠隔操作でボタンを押してくれるだけ」です。ただ、これを初めて見た時は、「何か買い揃えなくてもボタンを遠隔から押せるだけで、いろいろなことができる!」と創造性が刺激され、感動しました。

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↑Switch Bot

f:id:mermirai:20180614143745g:plain ↑アプリで操作をし、スイッチを押すためのロボットアームを動かしている

最初に何をやったかというと、お風呂の追い焚きのボタンに付けました。

その時は冬で、朝起きた時にお湯に浸かりたいのですが、お風呂は2階にあって。1階から2階へ上がって追い焚きボタンを押して、1階に戻って、お風呂が沸いたころに2階に行く、というのは、動きに無駄が多くて。そんな時に布団の中で追い焚きボタンを押せるのは革命でした(笑)

上田:押すのではなく、捻るガジェットは無いですかね?うちはガスの元栓が凄い奥にあって、火事にならないよう毎回閉めるのが面倒で。

濱田:ただ、ガスの開け締めにガジェットを使うのは、リスクありますよね(笑)。途中で電源が落ちてしまう可能性もありますし。

上田:そうですよね(笑)

ななみん:あと、冬は床暖房などにも使いました。IFTTTに連携させることも可能です。

※IFTTTとは
「Aが起きたらBをする」といった条件とアクションを設定できるサービス。たとえば「温度が20度になったら、Bをする」「メールが届いたら、チャットで通知する」といった設定をすることができる

濱田:初心者はスマートプラグと、押すだけボタン、IFTTTの3つがあればいろいろできそうですね。

ななみん:押すだけボタンはシンプルだからこそ、色々な使い方が出来るので飽きませんし。冬場は追い焚きに使っていても、夏は別の使い方に切り替えられます。

ーボタンを使うのに他のツールはいらないのですか?

ななみん:Hubがあれば、外出先から押したりIFTTT連携することもできますね。ただ、Hubがなくても十分便利ですよ。

※Hubとは
外部のセンサーやインターネットからのインプットデータを赤外線やBluetoothに変換し、ガジェットを操作するための仲介ツール

私は、アプリからボタンを押して、Bluetoothで繋がったガジェットがボタンを押すというシンプルな使い方をしています。

―IFTTTで良く使われるトリガーとかはありますか

ななみん:たとえば、湿度が40%以下になったら通知が来るようにしていますね。そういう制御系は全てIFTTTでしています。ただ、かなりの数を設定しているので、通知が多すぎますね(笑)

上田:私の場合は、IFFFTとGoogle アシスタントに繋ぐパターンが多いです。

「ねぇGoogle 日テレ」と言うと、Google Home経由で、IFTTTに繋がり、それがNature Remoの方に飛んで、赤外線を送り、テレビのチャンネルが変わります。

ただ、命令を一言一句同じに言わないと反応してくれないので、命令となる言葉を大量に登録していますね。

ななみん:遅延はあります?遅延の有無は重要ですよね。

上田:遅延は割とありますね。「日テレ」と言った時に気持ちはすぐに日テレを見たいのですが、1秒くらいはかかっているのではないでしょうか。体感できるレベルでの遅延はあります。

リモコンを手にとって押した方が早い時もありますね。

ななみん:5Gになったら変わるのでしょうか?

上田:いや、変わらないと思います。

どこで時間がかかっているかというと、音声を解析する部分やIFFFTの部分でもかかっているので、通信だけ解決しても他にボトルネックがありそうです。

ななみん:そうなると結局「ボタンって凄いんだな」と戻ってきますね。

あとはIFTTT関連で言うと、空気が気になって、空気をトリガーにしています。

色々な環境データを取得できるAwairというガジェットを使っています。それには、湿度と温度は勿論、二酸化炭素や化学物質、ホコリなどいろいろ取れるようなセンサーがあって。ホコリの閾値が一定量を超えたら、空気清浄機を回しています。

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↑Awairを設置

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↑アプリで見ることができる管理画面

猫を飼っているので、猫が走り回ったらすぐにホコリの数値が上がるのですが、色々なトリガーで空気清浄機を起動させることができるのがポイントです。

おすすめのHubとは

―ガジェットと外部入力をつなぐHubに関して、オススメはありますか

ななみん:ガジェット毎にHubは個別になっているものが多いです。だから結構、費用がかかってしまいます。

例えば、Hueでも、ブリッジというHubがいりますし、先程のボタンを押すだけのガジェットもHubがいりますし。 結構バラバラですよね。みなさんの悩みだと思います。

上田:そうですね。Hubが使い回せれば、センサーとかライトだけで使えるので安く済むのですが、Hubが高いです。

ホームハックにまず必要なものとは

ーホームハックにまず必要なものはなにでしょうか

上田:好奇心だけかもしれませんね。ガジェットでいえば、さっき話にでていた古い携帯でも十分にカメラになります。

ななみん:使わなくなった携帯を活用しないと勿体無いですよね。センサーもいろいろついていますし。

上田:エンジニアリングができる人は自分でアプリ作れば良いですし、そうでない方も公開されているアプリを活用すればいいので。 そういった身近なガジェットから始めるのが良いですね。Google Homeもそこまで高くない値段で買えるので、それを使ってもいいですし。

マンションでも使えるホームハック

ーお二人は戸建てでのハックですが、マンションの人でも活用できますか

上田:活用できると思います。

部屋の広さによりますが、1番最初は電気の自動のオンオフはどうでしょうか。あとは鍵をスマートロックにするのも便利だと思います。

ただ、同僚で鍵をスマートロックにしていたんのですが、トラブルで開かなくなりました(笑)

ななみん:スマートロックの事業者も、そのようなリスクを認識していて、「リアルの鍵も念の為に持っておきましょう」という注意書きを書いています。私も一度やらかしてしまったことがあって。

自宅でオートロックの設定をオンにしていたら、ゴミを出す時に、スマートフォンを持たずに外に出てしまい、閉め出されてしまいました。その時は家に人がいたので助かりましたが、中に人がいなければ大変でしたね。

上田:マンションだと管理会社への相談になりそうですね。

ななみん:戸建ての場合の最終手段は鍵屋さんでしょうか。ただ、数万円はかかりますし、時間もかかるので、ちゃんとバックプランを用意しておいた方が良いかもしれませんね。

上田:信頼出来る誰かに鍵を渡しておくといったことは考えておいても良いかもしれません。

ななみん:そうですね、テクノロジーに頼るのも良いけれど頼りすぎるのも危険です。

作ってみたいガジェット

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ーご自身でガジェットを作ることもありますか

上田:Android Thingsというキットを貰ったのでそれで何かを作りたいなと思っています。ディスプレイもついているので、音楽を流している時に、流れている曲名や歌詞を出すことができたらいいなと思っています。

※Android Thingsとは
グーグルによるIoT向けのプラットフォーム

あと身近に視覚障害を抱えている方がいるのですが、そういう方向けにもボタンはいいと思います。

リモコンだとどのボタンなのかあまり見えないみたいで、どうなっているのかも分からない。そう考えると、先程の1つだけのボタンは、すごく良いなと思っていて。

ななみん:触って分かりますからね。

上田:IT系じゃない人にとって、ボタンが一杯あると怖いし、やれる事が一杯あるのも怖い。その中でピッと押せばいいっていうのは良いので、何か作って上げたいなと思っています。たとえば、Wi-Fiのオンオフを切り替えたりするようなものですね。

―ななみんさんは作ってみたいモノはありますか?

ななみん:色々あります。例えば猫が下痢をする時があるのですが、外出先でも、下痢を感知して私に通知が来るようにしたいです。家に帰ったらすぐおしりを洗ってあげないといけないですし。

ただ、通常の便と判別するために、臭気センサーの閾値をプログラミングしなきゃと思っています。下痢センサーというとインパクトのある表現ですが(笑)

猫はしゃべれないので、健康状態を飼い主が見てあげないといけないんです。ただ、外出しているとリアルタイムで対応するというのは難しいので、情報だけでも知っておきたい。それをIoTで出来るというのは素晴らしいことだと思っています。

上田:動物を飼われている方は、そのようなモチベーションが強くあるみたいですね。同僚も猫を飼い始めて、そういう情報を探していました。会社で泊まりの合宿があったのですが、その時に猫が心配そうで。

ななみん:仕事にならない(笑)

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私はリモートでペットシッター派遣が出来るようにしたので、海外出張にいけるようになりました。三泊四日は普通に行けて、1日1回ペットシッターさんに30分来て頂くという感じですね。寂しいですけど。

ですから猫を見れるようにカメラもつけました。ただ、3ヶ所あれば十分でした。1日のうちに、どこかのカメラの範囲にはきますし、あとは、餌の周りに置いておけば生存確認はできます(笑)

この猫関連のガジェット以外にも作りたいのはあるのですが、やりたい事を突き詰めていくと、結局、「効率を高めたい」という思いがあります。そして自分はある意味、怠惰でいたいというような。

「結局、人間はそこにたどり着くんだな」と思ったので、もっと家でグータラ出来るようなものをこれからも作りたいなと(笑)

ホームハックは怖い?

―周りの人にホームハックをおすすめされていますか

ななみん:布教しています、私の周りの人は好きな人が多くて取り組む人も増えてきました。ただ、本人が乗り気でも旦那さんや奥さんが不安になるケースもありますよね。

たとえば、「色々な所にカメラを仕込む」と聞くと「なんとなく嫌」という感情がでてくることがあります。あとは知らないものに対する恐怖もあるかもしれません。

上田:「自動化させずに、手動でやればいいじゃん」とおっしゃる方もいて、そういう現状に満足している人だと、取り組みはされないようです。

ななみん:ただ、やってみないとわからないものもありますよね。そして、やってみると得られるものは絶対にあります。

上田:センサーで電気が消える仕組みは絶対にやったほうが良いと思います(笑)

ななみん:ちなみに一軒家の電気代って凄いですよ。月2万円とか。それが少しでも節約できると良いのではないかと。

いまのホームハックの課題とパッケージ化

ーいまのホームハックの課題はありますか

上田:持っている電化製品がセンサーに対応していない場合があるので、それは対応が難しいですね。

たとえば、Nature Remo経由の赤外線で家電を操作したいのですが、家にあるライトがトグル式で。それだと、赤外線で対応できないのです。

※トグル式とは
オンとオフが同じボタンになっているスイッチ

ななみん:すごく分かります、0 1で対応できない家電もありますよね。標準規格作って欲しいです。

濱田:赤外線でいえば、エアコンの赤外線は送る情報が多いものは扱いにくいですね。

オン・オフの情報だけではなく、温度や風量もリモコンから本体に同時に送っているので、「温度を1度だけ上げる」というコマンドが打てなくて。IRKitでやろうとした時、リモコンで従来送っているデータ量が入らなくて不便でした。

全部赤外線で送るのではなくて、APIで操作できたら良いのですが。

上田:あと、ガジェット独自のアプリを使わないといけない、というのは管理が大変です

ななみん:たしかに。IoT関係のアプリはかなりの数を持っている気がします。ネットワークカメラのアプリや猫に餌を上げるためのアプリ、スマートロック、mornin’、リモコンアプリ、全部別ですね。

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↑IoT関係のアプリが並ぶスクリーンショット

濱田:それに関して「なるほど」と思った取り組みがあります。元楽天執行役員の本間さんという方が、シリコンバレーでHOMMAという事業をされてます。

彼は空調や水道、カメラなどを制御するためのセンサーやマイク、ケーブルなどのハードウェアと、ソフトウェアをパッケージにして提供するという試みをしています。要は1個1個のガジェットをパーツとした家の完成物を売っています。

車というハードウェアとそれを制御するソフトウェアを統合させたテスラになぞらえ「家のテスラ」とも言われています。今後、このようなハードウェアとソフトウェアをパッケージにした取り組みが増えてきそうです。

上田:一般の方に使ってもらうっていう事を考えるとパッケージ化はとても大切ですすね

ななみん:そうですね。私たちのような作ること自体が楽しい人は、今のままでも楽しんでいますが、つい手段が目的になっちゃうこともあります。「家をハックして、どういう体験が得られるか」という部分が重要なのに、作る方に目がいってしまう。やっていると楽しいから達成感があるのだけれども、本当は作りたい世界がまずあるべきですよね。

そう考えると、パッケージで体験をしてもらうというアプローチはとても大切です。

今後のホームIoT

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―家の効率化がすすむとどのような世界があるでしょうか

濱田:人が何かを気にしなくて良い世界がくると良いと思っています。何も気にしないで、家の不快感が減って、効率的にいろいろなことができる世界です。

たとえば、夏に部屋に入ると「暑いな」と思う前に涼しくなっているとか、「お風呂に入ろう」と思った時に浴槽に湯が張られているだとか。

ななみん:脳波を分析して、やりたい事をキャッチして作動するガジェットもでてくるかもしれないですね。

濱田:脳波までいかずとも、カメラでもいけるかもしれません。人間の行動を見ていれば、「あ、あの人がこの行動をしているということは、お風呂に入りそうだな」といったことが分かるかもしれません。

上田:「いつ、どのような時にシャワー使っているか?」などを分析すると、意外と人間の生活パターンはよめるのかもしれませんね。

ななみん:今日の天候や気温も使えそうですね。あとは何を話しているかといった情報も。それに加えて、「今日はお風呂に早い時間から入っている人が多い」というようなデータを取る事が出来たら、「この人も早くに入りそう」と分かりますし。

そのような習慣の分析には、やはり機械学習が要るところなのでしょうね。ですから、IoTの分野でも機械学習はとても大事です。

ホームハックをすると何が良い?

ーホームハックをすると、効率化以外に、どのような良いことがあるでしょうか

ななみん:これからIoTは日常生活で普通に使うものになっていくと思います。

そのため、ちょっと先の未来を体験するという意味でも、ホームハックをするのはいいのではないかと思います。何かの文献とか、IoTの未来のレポートを読むだけでは理解出来ないような未来の感覚が得られます。

上田:分かります。「便利だと思っていたら全然便利にならない」といったことや、声のインターフェイスの難しさなども含めて、気付きは多いです。

今後、「こういうネット家電をパッケージで提供します」と売られる世界が来た時に「うちはそれ要らない」といったこともわかりますし。

ななみん:先程言ったように無駄な事をどんどん省いて、仕事も効率化していくと「結局遊ぶしか残らないんじゃないか?」といった思考になっていくので、その世界を少し体験してみるだけでも未来をみる一助になるのではないでしょうか。

ーとりあえずボタンを買うようにします

ななみん:はい、やらない意味が分からないです(笑)、是非!

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左から、インタビュアーの原田、ななみんさん、濱田

  • Written by 原田和英(Mercari, Inc.)
  • Edit by 原田和英、笹木葉子(Mercari, Inc.)
  • Photo by 熊田勇真(Mercari, Inc.)

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2018/6/15 . 19:45:一部表現を修正しました