Web 3.0の6つの特徴

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Decentralized(非中央集権)のアプリ開発支援などを行うEssentia.one.のファウンダーである、Matteo Gianpietro Zago氏による「Why the Web 3.0 Matters and you should know about it(なぜWeb 3.0が重要で知っておくべきことなのか)」という記事があります。

ここでは、「Web 3.0の世界観」が紹介されており、「未来」を考える一助となりそうです。今回は、そちらの全文を日本語訳でご紹介します。

※Matteo Gianpietro Zago氏の許諾を得て翻訳・公開をしています(一部意訳)。

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なぜWeb 3.0が重要で知っておくべきことなのか

Web 3.0の生い立ち

「Web 3.0に関して」、あるいは「それが業界に劇的な変化をもたらすであろう」という話はあちこちで聞きますが、「なぜこれほど話題になっているのか」や「それが何をもたらすのか」ということを知っている人は、それほど多くはいません。このWeb 3.0を理解するためには、まずその先駆けであるWeb 1.0やWeb 2.0について知っておく必要があります。

中世の時代がそうであったように、Web 1.0も後継のWeb 2.0の時代になるまではその名前はついていませんでした。ワールドワイドウェブ(World Wide Web)として知られていたものも、単に大量の情報にあふれた静的なウェブサイトの集まりに過ぎず、双方向での使い方をするものではありませんでした。

その接続方法といえば頼りないモデムを使ったダイヤルアップ接続で、接続中は電話回線を独占するので家の固定電話が使えなくなるほどでした。AOLチャットルームやMSNメッセンジャー、検索エンジンのアルタビスタ(AltaVista)やAsk Jeevesの時代でした。接続速度は耐えがたいほどに遅かったことを思い出します。動画や音楽のストリーミングはどうかといえば、そんなサービスは存在せず、1曲ダウンロードするのに少なくとも1日かかったような時代です。

その後、Web 2.0時代が到来

モデムの接続音やうんざりするインターフェースは過去のものとなりました。より速いインターネット接続が整備され、双方向でコンテンツのやりとりができるようになりました。ウェブはもはや観察するものではなくなり、参加型のものとなりました。世界的な規模での情報をシェアすることが可能になり、ソーシャルメディアの時代が到来しました。YoutubeやWikipedia、FlickrやFacebookは声なき人々に声を上げる機会を与え、同じ考えを持つ人の集まるコミュニティが成長する手段となりました。

私がこの記事を作成した後、投稿するのにかかる時間はたったの30秒程度です。かつて、単なるシンプルなウェブサイト上の編集にもウェブデザイナーや開発者、管理者たちが共同して取り掛かっていた頃の労力と比べると、計り知れないほど進歩しています。今の時代のことは、「読み・書き・そろばん」ならぬ「読み・書き・投稿」時代、この3つの基礎的技能があれば簡単に情報を拡散できる時代、と呼べるでしょう。

これほど優れたWeb 2.0ですが、では何が問題なのでしょう?

情報イコールお金の時代

国連は、2000年から2015年にかけて、世界のインターネットユーザーが7億3800万人から32億人に増加したと概算しています。これは気の遠くなるような量のデータがインターネット上に存在することを意味し、大手のデジタル企業も気づいたように、個人情報は極めて価値が高い資産とみなされるようになりました。そこで膨大な量のデータが、大手のAmazon、Facebook、Twitterなどが管理する中央集権型のサーバーに蓄積されていきました。人々はこういった便利なサービスと引き換えに、情報のセキュリティを犠牲にしてきたのです。今では、人々の個人情報やウェブの閲覧傾向、検索やオンラインショッピングの情報などが企業間で高値で売買されているのです。

Web 3.0革命

この段階までに、Web 2.0の主導者たちはその後継の時代をすでに頭に描いていました。次世代のウェブは、彼らが予見したところでは、よりプライバシーに配慮していたかつてのWeb 1.0のビジョンに近いものになるかもしれません。そうなれば、権力と情報は、現代の巨大な怪獣たち(※一例として、AmazonやFacebook、Twitterなどの多くのユーザが使うサービスのこと)に集中させるのではなく、データの持ち主の手に戻っていくことになるでしょう。

そのより公正でより透明性のあるウェブのビジョンは2006年頃から存在していますが、実現させるためのツールやテクノロジーが追い付いていませんでした。その後ビットコインが登場するまでに3年かかりましたが、その登場は「分散型台帳」や「P2P型デジタルストレージ」といった概念をもたらしたのです。非中央集権がその思想で、ブロックチェーンがその手段でした。私たちは今、人間中心のインターネットの時代に突入したといえるでしょう。

プライバシーに賛成、独占化に反対するウェブ

Web 2.0は多くの権力機構を民主化し新たな機会を創出しました。しかし、経済的原動力のほうはもっぱら特定の企業が持つようになってきました。FacebookやUber、Airbnbは、インターネットの上に、彼ら自身によるプライベートのネットワークを個々に構築しました。Web 3.0はこれとは真逆で、オープンネットワーク上でお互いに価値を共有できる拠点が多重的に存在するような世界です。

暗号ベースの電話、VPN、非中央集権型ストレージや暗号通貨ウォレットが広く使われているような、それほど遠くない未来を想像するのは簡単です。それは、私たちの情報を中断したり監視したりするネットワークの必要のない未来です。NetflixのSFドラマ「ブラック・ミラー」のような、プライバシーのない恐ろしいディストピアに進んでいくのを避けるためには、これらのツールこそが私たちに必要なものなのです。Web 3.0には以下のような多くの利点があります。

Web 3.0 の6つの特徴

1. 非中央集権型:

中間業者がいなくなり、イーサリアムのようなブロックチェーンがトラストレスなプラットフォームを提供し、そのプラットフォームでは規則を破ることは不可能で、データは完全に暗号化されています。特定の企業が、ユーザーのデータをコントロールすることは難しくなっていくでしょう。政府や法人はサイトやサービスを閉鎖することができなくなり、個人は他人のアイデンティティをコントロールできなくなります。

2.データをあなたのコントロール配下に:

エンドユーザーがデータの完全なコントロールを再び手にし、暗号化によるセキュリティも得ることができるでしょう。情報は個別の許可ベースで共有が可能となります。現在は大手企業が、人々の食の好み、収入、趣味嗜好、クレジットカードの詳細などといった情報を蓄積しています。それは単にサービスの向上させるためだけではなく、そのデータはマーケティング責任者や広告主たちに数十億もの大金で毎年買われていくのです。

3. 不正侵入やデータ漏洩の劇的な減少:

データが非中央集権型で分散型になるので、ハッカーたちが攻撃をするには、ネットワーク全体を止める必要が出てくるでしょう。また、国家主導のVault 7のようなハッキングツールは時代遅れになるでしょう。

※Vault7とは
CIAより流出したと言われる機密文章でハッキングツールなどについての取り組みなどが記載されている

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↑ データ侵害による費用は2019年までに2.5兆ドルを突破見込み

現在、アメリカのインターネット関連会社は国からの要求があった場合、「顧客のデータを引き渡す」か「データベースを徹底的に調べ上げられるか」のいずれかを選択する必要があります。こうしたデータへの侵入は、テロのような大きな安全保障上の脅威だけに限ったことではないのです。2017年には、米国最大の仮想通貨取引所Coinbaseが内国歳入庁 (IRS) からその1万5000人を超える顧客のデータを要求されたことについて裁判沙汰になりました。

この裁判では結局Coinbaseが敗訴したのですが、これにより政府機関がその侵入を正当化する理由がほとんどないままに数千もの顧客のお金の流れを調査できるようになりました。本件のような裁判は不幸なことに珍しい話ではありません。2013年には、暗号化メールサービスLavabitが、米国政府にエドワード・スノーデン氏を監視できるSSLキーを渡すよりも、そのサービスを閉鎖する道を選びました。

4.デバイスを横断した活用可能性:

アプリは今後カスタマイズが簡単にできるようになり、デバイスを問わず使え、スマートフォンやテレビ、自動車、電子レンジ、スマートセンサーで使用可能となるでしょう。現在のアプリは、対応しているOSは限定されており、1つのOSに限定されていることもしばしばです。例えば、Android対応の暗号通貨ウォレットはiOSには対応しておらず、複数のデバイスを使う顧客をイライラさせています。この状況は開発者にとっても、ソフトウェア開発の繰り返しやアップデートにOSの数だけ対応しなければならず、コスト増の原因となっています。

5.参加にパーミッションの必要のないブロックチェーン:

誰もが自分のアドレスを作成しネットワーク上で使うことができます。パーミッションなしでブロックチェーンにアクセスできることは、強調しきれないくらい重要なことです。ユーザーのアカウントは、地理的要素、収入、性別、方向性、その他多くの社会学的、人口統計学的特性によって妨げられることがなくなるでしょう。財産やその他のデジタル資産は、素早く効率的に世界のどこにでも国境を超えたクロスボーダーな移動が可能です。

6.落ちることのない(ダウンしない)サービス:

アカウントの凍結やDDoSは劇的に少なくなります。その理由は単一障害点(SPOF)が存在しないからで、サービスの中断は最小限に抑えられます。データは冗長性を持たせるために分散したノードに保存され、複数とられたバックアップによりサーバー障害や差し押さえから守る事ができます。

※DDoSとは
Distributed Denial of Service attack(分散型サービス妨害)の略。多数の無関係なコンピュターを操作し、それらから妨害対象にアクセスすることで、サーバの負荷を増加させ、サービスを低下させること

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どのように機能するか?

実用化が期待されている他の最先端技術のように、Web 3.0は現在はまだ改良中の段階です。非集中型ウェブ(Decentralized Web)にアクセスするためには、まだイノベーションが求められるでしょう。

人々がインターネットにアクセスするためにはまだウェブブラウザを使うでしょうし、視覚的にはWeb 2.0サイトの方がユーザが慣れ親しんだものでしょう。表面上は、Web 2.0から3.0にかけての変化が緩やかに見えるかもしれません。しかし、裏側では、大きな変化が起こっているのです。

web2.0からWeb3.0への変化

  • Google DriveやDropboxの代わりに、ファイルを分散して保存するためにはStorj(ストージ)、Siacoin(シアコイン)、 Filecoin(ファイルコイン)、IPFS(インタープラネタリー・ファイル・システム)などといった技術があります
  • 動画音声通話サービスのSkypeの代わりにExperty.io(エキスパーティ)のようなプラットフォームがあります メッセンジャーアプリWhatsApp(ワッツアップ)やWeChat(微信)の代わりにStatus(ステータス)があります
  • iOSやAndroidのようなオペレーティングシステムの代わりに、Essentia.oneやEOSのような構造が新しいウェブへのゲートウェイとなります
  • AkashaやSteemitがフェイスブックのようなソーシャルネットワーキングの役割を担うようになり、オープンソースのウェブブラウザであるBraveがGoogle Chromeのような働きをし、EthlanceがクラウドソーシングサイトであるUpworkの後継になれるでしょう

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↑ Web 2.0 > Web 3.0

これらはほんのわずかな例に過ぎません。Web 3.0が現実のものとなるにつれて、独占的なサービスプロバイダーによって絞られるのではなく、健全な競争によって新しいプラットフォームが現れることでしょう。そして、3年後には分散型アプリケーション(DApps)や非集中型サービスは実用的なものとなるでしょう。

Web 2.0が自動的にWeb 1.0を消滅させたわけではないように(インターネットのどこかで埃を被りながらもひっそりとまだ存在しています)、Web 3.0への移行や既存のオンラインシステムとの統合にはまだ時間が必要でしょう。しかし、軌道に乗せる準備は全て整っており、すでにその列車は駅を出て走り始めました。Web 3.0は運転を開始した大革命であり、もう後戻りできないところまで来ているのです。

著者:Matteo Gianpietro Zago氏
2017年12月以来のMediumメンバー。 Web 2.0時代における最もコメント数の多いアイテムを創造したとしてギネス世界記録に認定。The Internet of Blockchains Foundationプレジデント。Essentia.oneファウンダー。 Essentia.oneでは上記で紹介したようなブロックチェーンのサービスを相互に繋ぐソリューションを提供している。

※本文の後半におけるEssentia.oneさんのソリューションに触れた箇所に関しては、今回の趣旨と異なる部分もあるため、本文の中ではなく、上記の紹介文の中にソリューション概要を記載させて頂いております。

以下、2つのお知らせです。

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  • 3/21 11:31 タイトルを修正しました

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